正文 一 - 6

通人論(つうじんろん)はちょっと首肯(しゅこう)しかねる。また芸者の妻君を羨しいなどというところは教師としては口にすべからざる愚劣の考であるが、己の水彩画における批評眼だけはたしかなものだ。主人はかくのごとく知(じち)の明(めい)あるにも関せずその惚(うぬぼれしん)はなかなか抜けない。中二日(なかふつか)置いて十二月四日の日記にこんなを書いている。

昨夜(ゆうべ)は僕が水彩画をかいて底物にならんと思って、そこらに抛(ほう)って置いたのを誰かが立派な額にして欄間(らんま)に懸(か)けてくれた夢を見た。さて額になったところを見ると我ながら急に手になった。非常に嬉しい。これなら立派なものだと独(ひと)りで眺め暮らしていると、夜が明けて眼が覚(さ)めてやはり元の通り手であるが朝日と共に明瞭になってしまった。

主人は夢の裡(うち)まで水彩画の未練を背負(しょ)ってあるいていると見える。これでは水彩画は無論夫子(ふうし)の所謂(いわゆる)通人にもなれない質(たち)だ。

主人が水彩画を夢に見た翌日例の金縁眼鏡(めがね)の者が久し振りで主人を訪問し……(内容加载失败!)

(ò﹏ò)

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