「それから歌舞伎座へいっしょに行ったのかい」と迷亭が領をんと云う顔付をして聞く。
「行きたかったが四時を過ぎちゃ、這入(はい)れないと云う細君の意見なんだから仕方がない、やめにしたさ。もう十五分ばかり早く甘木先生がてくれたら僕の義理も立つし、妻(さい)も満足したろうに、わずか十五分の差でね、実に残念なをした。考えすとあぶないところだったと今でも思うのさ」
語り了(おわ)った主人はようやく分の義務をすましたような風をする。これで両人に対して顔が立つと云う気かも知れん。
寒月は例のごとく欠けた歯をして笑いながら「それは残念でしたな」と云う。
迷亭はとぼけた顔をして「君のような親切な夫(おっと)を持った妻君は実に仕合せだな」と独(ひと)り言(ごと)のようにいう。障子の蔭でエヘンと云う細君の咳払(せきばら)いが聞える。
吾輩はおとなしく三人の話しを順番に聞いていたがおかしくも悲しくもなかった。人間というものは時間を潰(つぶ)すために強(し)いて口を運動させて、おかしくもないを笑ったり、面白くもないを嬉しがったりするほかにもない者だと思った。吾輩の……(内容加载失败!)
(ò﹏ò)
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