例によって金田邸へ忍び込む。
例によってとは今更(いまさら)解釈する必もない。しばしばを乗(じじょう)したほどの度合を示す語(ことば)である。一度やったは二度やりたいもので、二度試みたは三度試みたいのは人間にのみ限らるる奇ではない、猫といえどもこの理的特権を有してこの世界に生れでたものと認定していただかねばならぬ。三度繰返す時始めて習慣なる語を冠せられて、この行為が生活の必と進化するのもまた人間と相違はない。何のために、かくまで足繁(あししげ)く金田邸へ通うのかと不審をすならその前にちょっと人間に反問したいがある。なぜ人間は口から煙を吸い込んで鼻から吐きすのであるか、腹の足(た)しにも血のの薬にもならないものを、恥(はず)かし気(げ)もなく吐呑(とどん)して憚(はば)からざるは、吾輩が金田に入(しゅつにゅう)するのを、あまりきな声で咎(とが)め立(だ)てをして貰いたくない。金田邸は吾輩の煙草(たばこ)である。
忍び込むと云うと語弊がある、何だか泥棒か間男(まおとこ)のようで聞き苦しい。吾輩が金田邸へ行くのは、招待こそ……(内容加载失败!)
(ò﹏ò)
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