正文 四 - 7

吾輩と鈴木君の間に、かくのごとき無言劇が行われつつある間に主人は衣紋(えもん)をつくろって後架(こうか)からてて「やあ」と席に着いたが、手に持っていた名刺の影さえ見えぬところをもって見ると、鈴木藤十郎君の名前は臭い所へ無期徒刑に処せられたものと見える。名刺こそ飛んだ厄運(やくうん)に際したものだと思う間(ま)もなく、主人はこの野郎と吾輩の襟(えり)がみを攫(つか)んでえいとばかりに椽側(えんがわ)へ擲(たた)きつけた。

「さあ敷きたまえ。珍らしいな。いつ東京へてた」と主人は旧友に向って布団を勧める。鈴木君はちょっとこれを裏返したで、それへ坐る。

「ついまだ忙がしいものだから報知もしなかったが、実はこの間から東京の本社の方へ帰るようになってね……」

「それは結構だ、分(だいぶ)長く逢わなかったな。君が田舎(いなか)へ行ってから、始めてじゃないか」

「うん、もう十年近くになるね。なにその後時々東京へはてるもあるんだが、ついがいもんだから、いつでも失敬するような訳さ。悪(わ)るく思ってくれたもうな。社の方は君の職業とは違って随分忙がしい……(内容加载失败!)

(ò﹏ò)

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