「そりゃいいが、君の言草がさ。こうだぜ――吾輩はを専攻するつもりだから間(てんちかん)の面白いはなるべく写生しておいて将の参考に供さなければならん、気の毒だの、哀相(かわいそう)だのと云う情は問に忠実なる吾輩ごときものの口にすべきところでないと平気で云うのだろう。僕もあんまりな不人情な男だと思ったから泥だらけの手で君の写生帖を引き裂いてしまった」
「僕の有望な画才が頓挫(とんざ)して一向(いっこう)振わなくなったのも全くあの時からだ。君に機鋒(きほう)を折られたのだね。僕は君に恨(うらみ)がある」
「馬鹿にしちゃいけない。こっちが恨めしいくらいだ」
「迷亭はあの時分から法螺吹(ほらふき)だったな」と主人は羊羹(ようかん)を食い了(おわ)って再び二人の話の中に割り込んでる。
「約束なんか履行(りこう)したがない。それで詰問を受けると決して詫(わ)びたがない何とか蚊(か)とか云う。あの寺の境内に百日紅(さるすべり)が咲いていた時分、この百日紅が散るまでに原論と云う著述をすると云うから、駄目だ、底る気遣(きづかい)はないと云っ……(内容加载失败!)
(ò﹏ò)
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