正文 八 - 5

ある日の午後、吾輩は例のごとく椽側(えんがわ)へて午睡(ひるね)をして虎になった夢を見ていた。主人に鶏(けいにく)を持っていと云うと、主人がへえと恐る恐る鶏を持ってる。迷亭がたから、迷亭に雁(がん)が食いたい、雁鍋(がんなべ)へ行って誂(あつ)らえていと云うと、蕪(かぶ)の香(こう)の物(もの)と、塩煎餅(しおせんべい)といっしょに召しがりますと雁の味が致しますと例のごとく茶羅(ちゃら)ッ鉾(ぽこ)を云うから、きな口をあいて、うーと唸(うな)って嚇(おどか)してやったら、迷亭は蒼(あお)くなって山(やました)の雁鍋は廃業致しましたがいかが取り計(はから)いましょうかと云った。それなら牛で勘弁するから早く西川へ行ってロースを一斤取ってい、早くせんと貴様から食い殺すぞと云ったら、迷亭は尻を端折(はしょ)って馳(か)けした。吾輩は急にからだがきくなったので、椽側一杯に寝そべって、迷亭の帰るのを待ち受けていると、たちまち中(うちじゅう)に響くきな声がしてせっかくの牛(ぎゅう)も食わぬ間(ま)に夢がさめて吾に帰った。すると今まで恐る……(内容加载失败!)

(ò﹏ò)

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