正文 九 - 10

「君独仙の説を聞いたがあるのかい」と主人は剣呑(けんのん)だから念を推(お)して見る。

「聞いたの、聞かないのって、あの男の説ときたら、十年前校にいた時分と今日(こんにち)と少しも変りゃしない」

「真理はそう変るものじゃないから、変らないところがたのもしいかも知れない」

「まあそんな贔負(ひいき)があるから独仙もあれで立ち行くんだね。一八木と云う名からして、よくてるよ。あの髯(ひげ)が君全く山羊(やぎ)だからね。そうしてあれも寄宿舎時代からあの通りの恰(かっこう)で生えていたんだ。名前の独仙なども振(ふる)ったものさ。昔(むか)し僕のところへ泊りがけにて例の通り消極的の修養と云う議論をしてね。いつまで立っても同じを繰り返してやめないから、僕が君もう寝(ね)ようじゃないかと云うと、先生気楽なものさ、いや僕は眠くないとすまし切って、やっぱり消極論をやるには迷惑したね。仕方がないから君は眠くなかろうけれども、僕の方は変眠いのだから、どうか寝てくれたまえと頼むようにして寝かしたまではよかったが――その晩鼠(ねずみ)がて独仙君の鼻のあたまを噛(か……(内容加载失败!)

(ò﹏ò)

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