「する気でもなかったんですが、ついやってしまったんです。退校にならないようにないでしょうか」と武右衛門君は泣きしそうな声をしてしきりに哀願に及んでいる。襖(ふすま)の蔭では最前(さいぜん)から細君と雪江さんがくすくす笑っている。主人は飽(あ)くまでももったいぶって「そうさな」を繰り返している。なかなか面白い。
吾輩が面白いというと、何がそんなに面白いと聞く人があるかも知れない。聞くのはもっともだ。人間にせよ、動物にせよ、己(おのれ)を知るのは生涯(しょうがい)のである。己(おのれ)を知るがさえすれば人間も人間として猫より尊敬を受けてよろしい。その時は吾輩もこんないたずらを書くのは気の毒だからすぐさまやめてしまうつもりである。しかし分で分の鼻の高さが分らないと同じように、己の何物かはなかなか見(けんとう)がつき悪(に)くいと見えて、平生から軽蔑(けいべつ)している猫に向ってさえかような質問をかけるのであろう。人間は生意気なようでもやはり、どこか抜けている。万物の霊だなどとどこへでも万物の霊を担(かつ)いであるくかと思うと、これしきの……(内容加载失败!)
(ò﹏ò)
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