かように考えて面白いなと思っていると、格子(こうし)ががらがらとあいて、玄関の障子(しょうじ)の蔭から顔が半分ぬうとた。
「先生」
主人は武右衛門君に「そうさな」を繰り返していたところへ、先生と玄関から呼ばれたので、誰だろうとそっちを見ると半分ほど筋違(すじかい)に障子から食(は)みしている顔はまさしく寒月君である。「おい、御這入(おはい)り」と云ったぎり坐っている。
「御客ですか」と寒月君はやはり顔半分で聞き返している。
「なに構わん、まあ御(おあ)がり」
「実はちょっと先生を誘いにたんですがね」
「どこへ行くんだい。また赤坂かい。あの方面はもう御免だ。せんだっては無闇(むやみ)にあるかせられて、足が棒のようになった」
「今日は丈夫です。久し振りにませんか」
「どこへるんだい。まあ御がり」
「野へ行って虎の鳴き声を聞こうと思うんです」
「つまらんじゃないか、それよりちょっと御り」
寒月君はとうてい遠方では談判不調と思ったものか、靴をいでのそのそがってた。例のごとく鼠色(ねずみいろ)の、尻につぎの中(あた)ったずぼんを穿(は)いているが、……(内容加载失败!)
(ò﹏ò)
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