「物価が高いせいでしょう」と寒月君が答える。
「芸術趣味を解しないからでしょう」と東風君が答える。
「人間に文明の角(つの)が生えて、金米糖(こんぺいとう)のようにいらいらするからさ」と迷亭君が答える。
今度は主人の番である。主人はもったい振(ぶ)った口調で、こんな議論を始めた。
「それは僕が分(だいぶ)考えただ。僕の解釈によると世人の探偵的傾向は全く個人の覚の強過ぎるのが原因になっている。僕の覚と名づけるのは独仙君の方で云う、見仏(けんしょうじょうぶつ)とか、己はと同一体だとか云う悟の類(たぐい)ではない。……」
「おや分(だいぶ)むずかしくなってたようだ。苦沙弥君、君にしてそんな議論を舌頭(ぜっとう)に弄(ろう)するは、かく申す迷亭も憚(はばか)りながら御あとで現代の文明に対する不平を堂々と云うよ」
「勝手に云うがいい、云うもない癖に」
「ところがある。(おおい)にある。君なぞはせんだっては刑巡査を神のごとく敬(うやま)い、また今日は探偵をスリ泥棒に比し、まるで矛盾の変怪(へんげ)だが、僕などは終始一貫父母未生(ふ……(内容加载失败!)
(ò﹏ò)
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