「こんな噺(はなし)もあるよ」とだまってるの嫌(きらい)な迷亭君が云った。「カーライルが始めて女皇(じょこう)に謁した時、宮廷の礼に嫻(なら)わぬ変物(へんぶつ)のだから、先生突どうですと云いながら、どさりと椅子へ腰をおろした。ところが女皇の後(うし)ろに立っていた勢の侍従や官女がみんなくすくす笑いした――したのではない、そうとしたのさ、すると女皇が後ろを向いて、ちょっと何か相図をしたら、勢(おおぜい)の侍従官女がいつの間(ま)にかみんな椅子へ腰をかけて、カーライルは面目を失わなかったと云うんだが随分御念の入った親切もあったもんだ」
「カーライルのなら、みんなが立ってても平気だったかも知れませんよ」と寒月君が短評を試みた。
「親切の方の覚はまあいいがね」と独仙君は進行する。「覚があるだけ親切をするにも骨が折れる訳になる。気の毒なさ。文明が進むに従って殺伐の気がなくなる、個人と個人の際がおだやかになるなどと普通云うが間違いさ。こんなに覚が強くって、どうしておだやかになれるものか。なるほどちょっと見るとごくしずかで無なよう……(内容加载失败!)
(ò﹏ò)
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