「かしこまりました。月賦は必ず六十回限りのに致します」
「いや冗談のようだが、実際参考になる話ですよ、寒月君」と独仙君は寒月君に向いだした。「たとえばですね。今苦沙弥君か迷亭君が、君が無断で結婚したのが穏(おんとう)でないから、金田とか云う人に謝罪しろと忠告したら君どうです。謝罪する了見ですか」
「謝罪は御容赦にあずかりたいですね。向うがあやまるなら特別、の方ではそんな慾はありません」
「警察が君にあやまれと命じたらどうです」
「なおなお御免蒙(ごめんこうむ)ります」
「臣とか華族ならどうです」
「いよいよもって御免蒙ります」
「それ見たまえ。昔と今とは人間がそれだけ変ってる。昔は御(おかみ)の御威光なら何でもた時代です。その次には御の御威光でもないものがてくる時代です。今の世はいかに殿でも閣でも、ある程度に個人の人格のにのしかかるがない世の中です。はげしく云えば先方に権力があればあるほど、のしかかられるものの方では不愉快を感じて反抗する世の中です。だから今の世は昔(むか)しと違って、御の御威光だからないのだと云う……(内容加载失败!)
(ò﹏ò)
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